「出版ひとり」の10周年

『好きな函館 好きだった函館』を出したのは、

昨年の令和3(2021)年10月。

平成23(2011)年9月に、1人で出版を始めてから

ほぼ10周年にあたる節目だった。


タイトルに「創立10周年記念出版」と冠を付けたいところだが、

ヒット作もなく、相変わらず1人のままの零細企業。

冷静に考えて、「10周年てったって、おたくなんか知りません」

と言われるのが落ちだろう。


そんなわけで内容的にも、

「ひっそりとこの10年を振り返る」みたいな感じで

私がこの間、函館で目にした印象的な風景を選んで短文を付けた。


「好きだった函館」というのは

好きだけど嫌いになった、という意味ではなくて、

好きだけど、もうなくなってしまった建物や風景も収めました、という意味。


この意味を汲み取ってもらえなくて、

「えらくネガティブな本だな」という印象を与えると

函館市民のみなさまに申し訳ないので、

「こんな町、二度と生まれない」というヨイショの副題を付けている。


函館には、幕末に開港場となったが故に「北日本一の大都会」になり得たという歴史があり

教会群に五稜郭など、開港場となったが故に生まれた建造物や史跡は数多い。

要するに、函館のような町は、日本が再び鎖国をしないと生まれない。

だがそんなことは、まずあり得ない。


私が旅行で訪れた函館に魅せられ、移住して函館の本作りを始めたのは、

実際にこんなふうに感じたからだ。


この10年、大騒ぎしたこともいつか忘却の淵へと

平成函館忘れない

短いようで長かった平成時代。その間の函館の出来事を振り返ります。新函館ライブラリの函館本とも連動しています