写真集であって、写真集らしからぬ

『好きな函館 好きだった函館』は、写真集ではあるけれど、

写真集とは言い難い面もある。


掲載した200点を超える写真のほぼすべては、

写真的な部分を犠牲にし、

細部(ディテール)の分かりやすさに徹して、修正している

というのか、その理由。


その典型は、表紙にも使ったこの写真。

上は印刷に使ったデータ、

下はその原版、要するにカメラが捉えたままのデータだ。

(いずれも縮小し、印刷に使った方はCMYKモードからRGBモードに戻しているが)


カメラまんまのデータは、当日の景色の見た目を

かなり忠実に再現していると思われるし、

コントラストなども自然な感じだ。


一方、印刷に使った方は、

ブルーがどうも水色っぽく、コントラストも欠いて、のっぺりしている。

だがわざと、こうなるように画像ソフトで調整した。

なぜなら、町並みや、一軒一軒の建物の様子などは、

こうした方が、わかりやすくなると思ったからだ。


「写真」を見せるためなら、カメラまんまのデータの方がきっと上。

だけど町の様子は少々判別しにくいと思う。

パソコンやタブレット、スマホの画面で見るなら

これでも結構わかりやすいのだが、

印刷の場合は、そうはいかない。


『好きな函館 好きだった函館』は、

何はともあれ、町の様子やその移り変わりを

見ていただきたくて刊行した。