2階に上げて梯子を外す出版めざして

近ごろの観光情報誌や観光ガイドブックには馴染めない。

どうも懇切丁寧すぎるのだ。


この町に着いたら、まずどうしてこうして、それから云々…

歩く道、訪ねるスポット、食べる物に土産物など

手取り足取り教えてくれる。


行く前からどんな所か、何があるかがイメージでき、

そのイメージに沿って町をめぐる。

それではまるで書かれたことの確認の旅。


わざわざお金と時間を使い、遠くに出かける。

それは何よりも、自分の身の回りにない魅力、

要するに未知を求めて行くのが旅だと思うが、

行く前からの種明かし。


犯人を知らされてから推理小説を読むような、

今で言うならファスト映画のようでもある。


余計なお世話は、する方もされる方も勘弁してくれ

などと思いながら、函館のガイドブックを出版する。

ならば、不親切に越したことはないわけで、

「函館には、こんな所がありますよ」と

写真だけ見せて、行き方も、その場所の名前すら教えない。


来る気にさせて、後はほったらかし。

よく言うたとえを使うなら、2階に上げて梯子を外す。

そんな気持ちで勢い込んで出版し、当初は少しは話題にもなったが

蓋を開ければあんまり売れず。


今も在庫は十分ありますので、1冊いかがですか。

大きなの名前のついた何でも屋さんで買えますよ。

お役立ち情報は書いてませんので、その分、経年変化も少ないです。

平成函館忘れない

短いようで長かった平成時代。その間の函館の出来事を振り返ります。新函館ライブラリの函館本とも連動しています